1903年創業の金物店が、なぜECに挑戦するのか

金物店で扱う工具とノートパソコンを組み合わせたイメージ 経営・会社づくり

1903年創業の金物店が、なぜECに挑戦するのか

冨木金物商店は、1903年創業の金物店です。

これまで、地域のお客様を中心に、建築道具や建築資材、家庭金物などを扱ってきました。

そんな冨木金物商店ですが、現在は実店舗での商売に加えて、インターネットを通じた販売、いわゆるECにも取り組んでいます。

なぜ、長年続いてきた金物店が、新しい販売方法に挑戦するのか。

今回は、その理由や、ECを通じて実現したいことについて書いてみたいと思います。

これまでの商売だけでは、限界があると感じた

商売を続けていくなかで感じていたのは、限られた人数で毎日の業務をこなしながら、売上や顧客数、事業の規模をさらに大きくしていくことの難しさです。

日々の業務をこなすだけでも時間は必要です。

その一方で、売上を増やすための取り組みや、新しいお客様との接点をつくることにも時間を使わなければなりません。

しかし、日々の仕事を続けながら、これまで以上の成果を上げていくことには限界があります。

また、金物店を取り巻く環境には、地域の同業者やホームセンター、大手通販会社、大手ECサイトなど、さまざまな競合が存在します。

商品数や資金力、販売規模といった面で考えると、こうした相手に対して、冨木金物商店が優位に立てる要素は限られていると感じています。

もちろん、これまでの店舗での商売を否定したいわけではありません。

地域のお客様との関係や、直接相談を受けながら商品を販売できることには、実店舗ならではの価値があります。

ただ、これまでと同じやり方を続けるだけで、今後も事業を成長させていけるのか。

そう考えたときに、従来の商売に加えて、新しい方法にも取り組んでいく必要があると感じました。

金物店を成長させるために、ECという選択肢

工具を並べた机でパソコンを使いECサイトの商品情報を確認する様子

私自身、以前からインターネットに興味がありました。

インターネットを通じて商品や情報を発信すれば、店舗のある地域だけでなく、もっと広い範囲の人々にアプローチできる可能性があります。

地域の限られたマーケットだけでなく、全国、さらには世界のマーケットにもつながることができる。

その可能性に魅力を感じていました。

もちろん、インターネット上にも多くの競合が存在します。

ECサイトをつくれば、すぐに商品が売れるというわけでもありません。

それでも、実店舗だけでは出会うことが難しかったお客様にも、冨木金物商店を知ってもらえる可能性があります。

私は、別の分野で新しい事業を始めるよりも、幼い頃から触れてきた金物店という商売を成長させ、これからも継続させていきたいと考えています。

だからこそ、今までの商売を大切にしながら、インターネットという新しい手段を取り入れることにしました。

ECへの挑戦は、単に販売場所を増やすためだけのものではありません。

冨木金物商店ができることを広げ、これまで接点のなかったお客様にも価値を届けるための取り組みです。

「冨木金物商店に聞けば間違いない」と思ってもらえる存在へ

ECを通じて商品を届けたいと考える一方で、私が目指したいのは、商品を販売するだけの店ではありません。

建築やDIYに関する商品を探しているとき、使い方や選び方が分からず困ることはないでしょうか。

必要な道具が分からない。

どの商品を選べばよいのか判断できない。

詳しいことを聞きたいけれど、どこに相談すれば適切な情報や対応を得られるのか分からない。

こうしたときに、身近に相談できる相手がいるとは限りません。

私たちが目指したいのは、そんなときに「冨木金物商店に聞けば間違いない」と感じてもらえる企業です。

そのためには、商品を販売するだけでなく、商品を探している人や困っている人に対して、自分たちが知り得る情報を届けていくことも大切だと考えています。

もちろん、私たちがすべてのことを知っているわけではありません。

扱う商品や知識にも限りがあります。

それでも、分かることを伝え、商品選びの手助けをし、少しでもお客様の困りごとを解決できるようにする。

そうした取り組みを積み重ねていくことで、商品を購入するときだけでなく、何かに困ったときにも思い出してもらえる存在になりたいと考えています。

ECは、そうした価値をより多くの人に届けるための手段の一つです。

工具のサブスクにも挑戦する理由

ECでの取り組みの一つとして、工具のサブスクにも挑戦しています。

そのきっかけは、工具や道具を購入するときの費用について考えたことでした。

建築やDIYで使う工具には、数万円、場合によっては数十万円するものもあります。

特に一般のDIYユーザーにとって、使用したい工具があっても、そのために大きな金額を一括で支払うことは、家計にとって負担になる場合があるのではないかと考えました。

そこで、「もっとお買い求めやすい売り方はないだろうか」と考えるようになりました。

その一つの方法が、毎月定額で利用できるサブスクです。

高額な工具を購入する場合と比べて、初期に必要となる支出を抑えられれば、工具を手にする際の負担を軽減できる可能性があります。

もちろん、サブスクがすべての人にとって最適な方法だとは考えていません。

工具を頻繁に使う人や、長く使い続ける人にとっては、購入した方が適している場合もあります。

大切なのは、お客様の使い方や状況に応じて、選択肢があることだと思います。

商品を販売するだけでなく、商品を手にするための方法にも工夫の余地があるのではないか。

そんな考えから、工具のサブスクにも取り組んでいます。

ECには、まだ課題も多い

ここまでECに取り組む理由を書いてきましたが、現実には課題も多くあります。

例えば、ECサイトへの集客、取り扱う商品数、そしてお客様への対応です。

サイトをつくっただけでは、なかなかお客様に見つけてもらえません。

商品を充実させることにも、商品についての情報を整理して発信することにも、時間や労力が必要です。

また、注文やお問い合わせをいただいたお客様に、適切に対応していくことも欠かせません。

やりたいことはあっても、限られた人数で日々の業務と並行して取り組むには、できることに限りがあります。

まだまだ試行錯誤している段階です。

だからこそ、何をすればお客様に知ってもらえるのか、どのような商品や情報が求められているのかを考えながら、一つずつ取り組んでいく必要があると感じています。

継続的に選んでいただける事業を目指して

ECを通じて、今後どのような状態を実現したいのか。

一つの目標は、お客様から継続的に注文や契約をいただける事業に育てることです。

特に、工具や道具を必要としている一般のDIYユーザーにも、継続的に活用していただけるようなサービスを目指しています。

ただ、特定のお客様だけを対象にしたいわけではありません。

建築関係の仕事をされている方も、DIYを楽しむ方も、家庭で使う金物を探している方も、それぞれに必要としている商品や情報があるはずです。

まずは、さまざまなお客様に冨木金物商店を知っていただき、商品や情報を必要とする場面で選んでいただけるようになりたいと考えています。

そして、一度購入して終わりではなく、また必要なときに利用していただける。困ったときには相談していただける。

そんな関係を築いていくことが、長く事業を続けていくうえでも大切だと思っています。

1903年から続いてきた金物店だからといって、昔と同じ方法だけを続けていく必要はありません。

これまでの商売を通じて培ってきたものを大切にしながら、時代に合わせて新しい方法にも挑戦していく。

ECへの取り組みも、そのための一歩です。

まだ実現できていないことも多くありますが、試行錯誤を続けながら、冨木金物商店だからこそできることを少しずつ増やしていきたいと思います。

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